古民家の再生ー亀岡の家 事務所の隣にある茅葺きの古民家を改修しました。 おそらく大正初期に建てられた兼業農家の住宅です。趣のある佇まいを残しつつ、現代の暮らしやすさを随所に入れ込み、快適で風景に溶け込む暮らしを実現しました。 ★改修工事の様子は下のスライドショーよりご覧ください。 私の事務所の隣にある茅葺きの古民家です。現在事務所がある場所には納屋と馬屋が建っていましたが、老朽化が激しく、解体しました。 全てが自然素材で出来ているので、木材は細かくきざんで薪ストーブの薪に、屋根の瓦は庭づくりの材料に、壁土はそのまま土に返しました。 この古民家は明確な建築時期はわかりませんが、近所の方の話から考えると、おそらく大正の初期に建てられた、このあたりのごく一般的な兼業農家の住宅だったと思われます。大きな構えの玄関引戸、隣に冠婚葬祭用の玄関があり、間取りは平入りの典型的な田の字型プランです。 小屋裏は茅や柴などの保管スペースに使われていたようです。 ガラス戸の丁寧な細工。随所に昔の手仕事が見られます。 ガラスもこの時代の磨りガラスや磨き板ガラスがそのまま残っています。 腐食が進んだ床下の束と大引。白アリの痕跡も見られます。 防湿のための土間コンクリートを打ち、大引を新しく入れ替えます。 根太を取り付け、その間には羊毛断熱材を施工します。 畳の座敷を一部屋だけ残して他の部屋は厚さ3㎝の杉板を張りました。 新しい畳を敷いた6畳の和室。間仕切りを全て取り払えば、24帖の大空間として使えます。 まん中の部屋の天井を撤去し、小屋裏とつなげて、吹抜の部屋にしました。古民家は軒が深いので、室内が暗いため、屋根に穴を開けて窓を付けます。 鉄板を切り取ってめくると、茅葺き屋根が出現します。茅の厚みは30㎝くらいあって、切り取った茅で庭が一杯になりました。 くりぬいた小屋裏の床の骨組みの間に、屋根に開けた穴から光が差し込みます。感動の瞬間です。 屋根裏と飛び出した窓の壁、天井裏にもしっかり断熱材を入れます。 窓もすべて複層ガラスにして、冬季も暖房効率の高い家になりました。 事例一覧にもどる