2011年には千葉県我孫子市というところに住んでいました。その昔白樺派の文人墨客が暮らした、東京近郊では風光明媚な手賀沼の畔です。事務所と住まいを新しく建てて、5年くらいが過ぎたところでした。
3月11日、その日から世界が変わっていきました。
見えない、気付かない、知らないことの怖さも知りました。
どうせ遠くへ行くのなら、住みたい場所をしっかり探して、自分の方から世界を変えようと考えました。
高校生の頃から興味があった古民家に住めるかもしれないという期待を持って、二週間に一度の移住先探しの旅が始まりました。奈良の山奥から始めて紀伊半島をずいぶんまわりましたが、イメージや条件に合うところがなかなか見つかりませんでした。視点を少し変えて、京都の中山間地に目を向けてみると、あまり田舎過ぎず、それでも里山の自然と暮らしがある、この地が目に留まりました。
まさに「トカイナカ」という言葉がよく似合うところです。